メールインタビュー

 発売されてから2周年ということで、佐々木監督にメールでのインタビューをお願いしました。つい最近再発売されることが発表されましたが、それ以外にも2000年は新たな動きがあるようで、私も楽しみにしています。

第2回メールインタビューへ
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『ずっといっしょ』の企画はいつごろ、どういったきっかけで
  スタートしたのでしょうか?

 企画を提示したのは、1996年の6月頃だったと思います。
 ちょうど僕がチーフを任された頃で、年間の発売計画を考えなければいけなくなり、持ち込みの色々な企画を見たり、自分で企画を考えたりしていました。
 時期的に「トゥルーラブ」とか「ノエル」が出てきて人気を博していた頃で、「ギャルゲーはいける!」と、ラインナップの一つとしてギャルゲーを上申したのです。

 ただ、そういう時流自体が上司や営業にになかなかわかってもらえず、「パソコンで先に出して・・・・」と言われたり、説得がかなり大変でした。結局ゴーがかかったのは、12月。半年かかりました。

 僕は最初小劇団を舞台にしたゲームを考えていたのですが、友人の意見から「同居 」という方向性にがらりと変えました。

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制作時に目標としていたことなどありましたら教えてください。

 「変なテイスト」を持ったゲームにしようとは思っていました。
 ただ、「変」という部分をスタッフが拡大解釈し過ぎてめちゃくちゃになった時期 があり、これを受け入れられやすい物に落としていくのがまた大変でした。
 結局全部一人で直すはめになりましたが。

 原作物をやったとき、こういった部分で「なんて楽なんだ」と思いました。
 原作を読めば、雰囲気やノリは共有できますからね。

 キャラ絵については、とにかく「いけてる絵」であることが大前提で、これだけは譲りませんでした。伊○○子さんにお願いしたかったのですが、スケジュールの都合でどうしてもお願いできず、作画監督に予定していた渡辺明夫を起用することになりました。彼の初キャラデということで、最初は不安で一杯でした。

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制作スタッフの間では特に誰が人気だったのでしょうか?
  また、スタッフにまつわる話などありましたら教えてください。

 誰かなあ・・・。
 あんまりそういう空気がなかったですね。「○○萌え〜」みたいなのは。オタクスタッフが僕しかいなかったせいでしょうね。
 僕は岬を強烈に推していたのですが、それ以外のキャラもちゃんと愛されるようにがんばって作りました。手抜いたキャラはいません。

 デバッグの関係で嫌がられたキャラはいましたね。
 特に小野寺と松田。前者はシステム上はちあわせをしやすくて攻略の妨げになること、後者はイベントが一番最後に出来た関係で、組み込み時に混乱が起こったことですね。

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思い出深いシナリオやデートイベントなどありましたら教えてください。

 江藤のドラマがなかなかできなくて苦労しました。最初に書き始めたはずなのに、一番最後に完成しました。どうしても上手くまとめられなくて、ずいぶん悩みました。

 あとは岬の入院ドラマシナリオですか。これのために「音を全部止める」という簡易言語用の命令を作ってもらったり、ロムコレクションでわざわざドラマを作り直したほどですし。

 「玉子王国」に「リングのタマちゃん」という出し物があることになってます。
 これはもともと「リングの王者(コナミ)」という古いプロレスのゲームがあり、僕の大学時代の友人がこのゲームを「りんぐのたまじゃ」と呼んでいました。
 これを制作中になんとなく思い出し、腕相撲のゲームのイベントか何かで使おうと提示してあったのですが、いつしかこんな名前で、全然別の内容で使われていました。僕が書いたわけではないので、何のイベントなのか、僕もよくわかりません(笑)。

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ゲーム発売時の思い出話などありましたら聞かせてください。

 発売直後の雑誌の評価はおおむね良好だったのですが、ファミ通PSで「3」を二つつけられてへこんだ覚えがあります。
 後はメッセサンオーとソフマップでリピートが早いうちに何度もかかったのが嬉しかったですね。
 地方の売れ行きが悪くて、東京と地方の違いを痛感しましたが。

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CD-ROMコレクションやボーカルコレクションの歌を収録したときの
  エピソードなどありましたら聞かせてください。

 ロムコレクションは前提として、「一本一カ月制作」が前提のタイトルで、非常に作るのがきついタイトルでした。最初のタイトルはともかく、新ロムコレは最初から三本作ることになっていたし、「デスクトップアクセサリ」という括りで始まったので(営業的に)一本のボリュームよりもバラエティ感が必要とされました。

 「アクセサリ」に名を借りて、色んな事をやってみました。「ワンダープロジェクト」をやった時の経験から、普通のアクセサリ作ってもつまんないし、第一ネタが続かないことがわかっていたので。

 歌についてはドラマがありました。
 ロムの納品10日前に橋本さんのほうから電話があり、「素人ですごく上手い子がいるんだけど、使いませんか?」というのです。もうすでに各種支払い書類提出は済んでしまっていたので、それは無理だと言ったのですが、「じゃ僕が個人で支払います」と橋本さんも譲りません。
 しかも歌なんか出来ているわけないし、何でやるとも考えてもいません。しかし締め切りだけは頑として存在しています。

 結局、「真夏の陽炎」を岬の着せ変えノベルで使用することになり、僕が急きょ三日で作詩をすることになりました(お金も半分出しました)。作詩なんかやったことないものですから、ものすごく苦労しました。「『天使の指切り』なんて言葉でてこねぇ!プロってすげぇ!」などと苦悩していたものです。
「彼氏彼女の事情」の主題歌の一節

 何とか締め切り間際に詩を届け、添削があった後、REMさんが「真夏の陽炎」を歌うことになりました。書いてて「こんなんでいいのかなー」などと思いましたが、出来てみるとなかなかいい歌に仕上がってて、嬉しかったです。

 ・・・・もっとも「白銀の音」は、組み込み中に記録してたMOが死ぬという事件があり、僕は死線を彷徨いましたが・・・・。

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ずっといっしょボーカルコレクションのVol.3について、
  現在予定していることを書ける範囲で教えてください。

 一応最後ということで、色々なことを考えています。
 予算と都合の面で出来ることは、なるべく色々やりたいと考えています。
 ひとつだけ決まっているのは、モノクロイラストを「鶯神楽」君に頼んだことです。
 今度のアルバムは「並木」メインということで、「並木」マンガでコミックゲーメストで「ずっといっしょ」漫画を書いた彼に、「これも何かの因縁」とか何とか言って依頼しました。

 最後ということで、全員気合いが入る今日このごろです。
けっして二枚組になったりはしません。

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その他ファンへのメッセージなどありましたらお願いします。

 最近何も動きがないように見えますが、「ずっと」については実は色々とやっています。とりあえず、春のゲームショウのコナミブースに来てください。ほんのちょっとだけ「関連」物があります。
 また、先ごろ「ずっと」関連については重大な決定があったので、(すぐではないですが)新作含め、色々とやっていくつもりです。

 新しい娘たちは、僕のWorkPadc3の中で、皆さんに会える日を今か今かと待ち焦がれています(おかげで今大変な目にあってますけど)。皆さんに会える日が来たら、その時はまた、みんなを可愛がってやって下さい。

 今後とも「ずっといっしょ」の仲間たちを、よろしくお願いいたします。

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